ショート動画は再生数の67%を占めたが、視聴時間では0.4%だった

自動生成のショート動画と長尺動画を同じチャンネルに投稿し、YouTube Analytics API で両者を分離して測定しました。再生数ではショートが圧勝、視聴時間では長尺が圧勝という結果になり、ショートを増やす判断を撤回するまでの記録です。

再生数だけ見ていたら、判断を間違えていました

ショート動画と長尺動画を両方自動生成して投稿しているチャンネルの数字を、あらためて分解して見ました。最初に目に入るのは再生数です。ここだけ見ると、答えは明らかに見えました。

再生数全体の67.5%がショート動画。長尺動画は残りです。この時点で私は「ショートの本数を増やそう」と考え、生成パイプラインの投稿比率を変えるつもりでいました。

ところが、総視聴時間を同じ軸で分解したところ、数字がまったく逆になりました。

実測

再生数 67.5% → 視聴時間 0.4%
同じチャンネルの同じ期間、ショート動画の占有率

再生数で3分の2を占めていたショートが、視聴時間ではわずか0.4%しか占めていませんでした。長尺動画が総視聴時間の98.2%です。

ショート動画の占有率(再生数 vs 総視聴時間)
ショート動画の占有率(再生数 vs 総視聴時間)

なぜここまで差がつくのか

理由は単純で、ショートの平均視聴時間が約10秒だったからです。再生数が何倍あっても、1回あたり10秒しか積み上がらないので、総視聴時間には効いてきません。

逆に長尺動画は、再生数が全体の3分の1以下でも、1回あたりの視聴時間が桁違いに長いため、視聴時間の98.2%を持っていきます。

指標 ショート 長尺
再生数の占有率 67.5% 32.5%
総視聴時間の占有率 0.4% 98.2%
1回あたりの視聴時間 約10秒 (ショートより大幅に長い)
注意

再生数と視聴時間は、同じ「見られた量」を表しているように見えて、実際にはまったく別の指標です。ショートと長尺を混ぜたチャンネルでは、この2つを合計値だけで眺めると、判断を誤ります。

登録者は全部、長尺から来ていました

もうひとつ、はっきり出た数字があります。この期間の登録者増加は、すべて長尺動画からでした

ショート経由の登録者は0人です。再生数の67.5%を稼いでいた側から、登録者が1人も来ていませんでした。

失敗したこと

再生数のダッシュボードだけを見て「ショートが伸びている」と解釈し、ショートの生成本数を増やす方向に舵を切りかけました。視聴時間と登録者の内訳を分離して見ていなければ、そのまま実行していたと思います。

分離して測る方法:creatorContentType

この分解を可能にしたのは、YouTube Analytics API の creatorContentType ディメンションです。これを使うと、次の3種類を分けて集計できます。

  • shorts(ショート動画)
  • videoOnDemand(通常の長尺動画)
  • liveStream(ライブ配信)

ポイントは、合計値のままでは何も分からないということです。再生数・視聴時間・登録者増加のそれぞれを、このディメンションで割ってはじめて「67.5%対0.4%」という構造が見えました。

ポイント

ショートと長尺を同じチャンネルで運用しているなら、指標を合計で見るのをやめて、creatorContentType で必ず分けて集計してください。合計値は、両者の性質が違いすぎるため平均としての意味をほとんど持ちません。

それで、ショートはやめたのか

結論としては、ショートを増やす判断は撤回しました。理由は、視聴時間にも登録者にも寄与していないことが数字で確認できたからです。

ただし、ここは正直に書きます。私が確認できたのは「このチャンネルの、この期間のショートは、視聴時間と登録者に寄与していなかった」という事実だけです。

  • ショートが長尺動画への導線として間接的に効いていたかどうかは、測っていないので分かりません
  • ショートの内容や作り方を変えれば結果が変わるのかも、検証していません
  • 他のチャンネルで同じ比率になるかは、当然分かりません

分かっているのは、自分の手元の数字がこうだったということと、その数字は再生数だけ見ていたら永久に見えなかったということです。

うまくいったこと

指標を creatorContentType で分離する、という一手を入れただけで、間違った方向への投資を止められました。自動化パイプラインは一度方針を決めると大量に生産してしまうので、方針を決める前に測れたのは大きかったです。

自動化しているからこそ、指標の分解が効く

自動生成でコンテンツを量産していると、「何本作ったか」「何回再生されたか」といった、増えていくのが気持ちいい数字に引っ張られます。ショートは特にそうです。再生数が伸びるので、動いている実感があります。

しかし今回の実測では、その67.5%の再生数が、視聴時間としては0.4%、登録者としては0人でした。量産の方向を決めるときに見るべき指標は、再生数ではなかったということです。

まとめ

  • 同一チャンネルの実測で、ショート動画は再生数の67.5%を占めたが、総視聴時間では0.4%だった
  • ショートの平均視聴時間は約10秒。長尺動画が総視聴時間の98.2%を占めた
  • 登録者の増加はすべて長尺動画から。ショート経由の登録は0人
  • YouTube Analytics API の creatorContentType で shorts / videoOnDemand / liveStream を分離すれば、この構造が見える
  • 再生数だけを見てショートを増やす判断をしかけたが、視聴時間を確認して撤回した
  • ショートが長尺への間接的な導線になっていたかは測っていないため分からない